親の会社を辞める前に考えるべき3つのこと
こんにちは。”小心者のぼく”です。
この記事を読まれている方は、親の会社で跡継ぎとして働いているものの「辞めたい」と悩んでいるんですよね。理由としてはこんな感じでしょうか?
- 親の会社がブラック過ぎる
- 会社に将来性がない
- 親と馬が合わない
- 仕事、業界が面白くない
もちろん私の周りでも思っている方はいますし、実際にやめられた方もいます。「辞めたい」と思うことは珍しいことではありませんが、やはり実際に「辞める」というのは相当の決断です。辞めた後に後悔しないよう、辞める前に考えるべき3つのことを今回は解説していきます。
▼結論
- 家業における自分の役割を理解しているか
- 会社が何故続いてきたのかを考えたことはあるか
- あなたは社長の何を知っているのか
▼解説
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家業における自分の役割を理解しているか
まず初めに、会社における自分の期待されている役割や立場を考えてみてください。たいていの場合、あなたは将来の社長になることを期待されています。
もし今の会社がブラックなら、ホワイトにするのがあなたの役割です。
ワンマン経営で現場から不満が出ているのであれば、その不満を和らげるために社長の想いを現場に伝えたり、将来承継した後に反面教師にするのがあなたの役割です。
したくない仕事を延々とさせられているとしても、そういう現場仕事を理解し経営判断に活かすのがあなたの役割です。
今経験している理不尽、不満、困りごとは「現場の現実」であり、それは社長になった後で知ろうとしてもなかなか知ることはできないものです。現状を評価するのではなく、現状を変えることがあなたには求められていると考えてみてはいかがでしょうか。
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会社が何故続いてきたのかを考えたことはあるか
事業承継を考えているということは、恐らく数十年、もしかしたら数百年続いている会社ではないでしょうか。もしあなたから見てひどい会社、ひどい社長が全てであるならば、そもそもそんなに続くのでしょうか。
会社を続けているということは、それだけ地域の雇用を生み、そして納税や仕入れなどの事業活動を通じて地域の経済活動を支えてきた実績と歴史があります。私は起業もしていますので、0から始め、持続的に人を雇い、利益を出せる事業を作るのがどれだけ難しいか肌で感じています。
確かに大企業と比較して労働環境や就労条件はシビアかもしれませんし、社長は理想的な上司ではないかもしれません。あなたは社長にとって自分の子供、便利で気兼ねなく使える人材と考えているかもしれません。しかしどんな形であれ、これまで会社を続けてきたという実績は事実です。ネガティブな感情は抜きにしてそこはしっかりと「尊重」すべきです。
改めて自分の見えている景色が本当にこの会社の全てなのかを考えてみて下さい。従業員や地域の人、行政、社長仲間から見た会社の評価と自分が感じている会社の評価にギャップがあるかもしれません。
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あなたは社長の何を知っているのか
あなたが社長個人のことをどれだけ知っているのか、考えてみて下さい。親だから当然知っていると思っていても、それは家の中の親の姿ではないでしょうか。それも物心ついてからの。
自分が生まれる前、幼少期、学生時代。親は会社でどんな経験をして、どんなことに悩んできたかご存知ですか?
もしあなたが大企業の常識やロジックであったり、他社のベストプラクティスであったりを鵜呑みにして社長を評価しているとしたら、あなたはまだ社長のことをあまり分かっていない可能性があります。
まず大前提として、法律を守り、雇用を生み、納税し、経済活動をし、顧客の課題を解決している会社なら、社長の判断や行動は正解です。それがどんなに「あなたの思う理想の会社」から遠かったとしてもです。
ここからは私の体験談ですが、私が会社で社長と不仲で、反面教師にしていた頃、全く社長のことを知ろうとしていませんでした。
私が入社して4年目のある時、「これ、古いから時代遅れかもしれないけど、読んでみて欲しい」と社長からボロボロの本を数冊もらいました。読んでみると私が「社長のこういう考え方嫌だなぁ」と思っていたことが書かれていました。文章中には社長自身が書いたであろうたくさんの線とコメントがあり、ボロボロになるまで何度も読んだ形跡がありました。
またある時は、「僕がお前くらいの年で参加したセミナーの資料、もう捨てようと思うから読んで不要だったら捨てといて」と30ページくらいの冊子を受け取りました。読んでみると、そこにもたくさんの線とコメントがびっしり書かれていて、余白の部分には当時社長が悩んでいたことやこれからやりたいことが書かれていました。その内容には、まさに今の自分思っていた理想と同じものもありました。
この時私は、「社長(親)を舐めていた」ことに気付きました。私の何倍、何十倍もこの会社で働き、経営し、勉強してきた人に対し、「あなたのやり方は間違っている」なんておこがましい、と。そしてもっと、社長が今のやり方をするに至った背景やポリシー、哲学、学びを聞くようにしました。
最終的に責任が取れる人は社長しかおらず、会社がつぶれた時は社長も一緒につぶれます。その立場に自分も立てた時、本当の意味で社長(親)のことを理解できるのかもしれません。
▼さいごに
いかがでしたでしょうか。
私は後継ぎが「会社を辞めたい」と思う多くの原因は「親への甘えと見下し」ではないかと思っています。これは私自身もそうでしたし、他の後継ぎと話していてもそう感じました。
もちろん人によっては法律違反をバンバンしていて、倫理観に欠けている社長もいるかもしれません。しかし、大半の経営者は会社と、家族と、従業員のことを考え、できるだけ法律を守りながら利益を出すように頑張っています。
もしあなたが他社と比べて自社や社長を評価した結果辞めたいと思うのであれば、今回ご紹介した3つの視点でもう一度考えてみてはいかがでしょうか。
他にも事業承継の際の悩みを記事にしていますので、ご参照ください。