【上司と部下の関係】社長が裸の王様にならないためにできる5つのこと
こんにちは。“小心者のぼく”です。
突然ですが皆さん、裸の王様って知っていますか?
簡単に説明すると、詐欺師の仕立て屋さんに「馬鹿には見えない服」とだまされた王様が、真っ裸でパレードを開いたというお話です。関係者全員が、「自分が馬鹿だと思われたくない」という一心から「素晴らしい服です!」とほめたたえ、ついには王様もそれに流されてしまいました。
信頼できる、正直に物申せる部下や腹心をきちんと育てましょう、という教訓としてリーダーシップ研修などで取り上げられます。特に社長は裸の王様になりやすく、自分自身も悩んでいます。
今回は「部下から情報が上がってこない」「知らない間に問題が発生している」「いつも競合に出し抜かれる」「指示待ち人間だらけ」という裸の王様化しているかもしれない社長・上司の方に、その解決策を解説します。
▼結論
▼裸の王様チェックリスト
- 問題が起きてから知る
- いつも競合に先んじられる
- 周りが指示待ち人間だらけ
- 自分の意見が大抵通る
- 良いように使われる
4つ以上当てはまるとほぼ裸だと思います。
▼なぜ裸になってしまうのか
大きく2つ理由があると思います。
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過去の言動
最大の理由はその上司の過去の言動ではないでしょうか。
・部下の報告をまともに聞かない
・悪い報告に対して感情的になる
・機嫌によって態度が変わる
・言い出しっぺが全責任を負わされる
こういった部下への対応を続けた結果、現場や部下にとって都合の悪い情報、すぐに対応しなければならない重要な情報が上司へ届けられなくなります。正しい情報が不足している中で的外れな指示を出してしまうことが増え、それが現場と上司の溝を更に深めてしまいます。
自分の意見が通るのも、その意見が正しいからではなく部下が是正を諦めている可能性があります。上司からすると無能な指示待ち人間が多い程度の認識かもしれませんが、実態は組織崩壊をしている状況ではないでしょうか。
これが更に悪化していくと、上司の名前を良いように使われ始めます。
例えば失敗の原因を100%指示出しした上司にされます。直接上司に言うことはありませんが、現場ではこれが共通認識となり、目標達成意志がガンガン下がります。
また、悪知恵が回る者は上司の名前を借りて現場に自分の意見を押し通し始めます。本来の上司の意図を曲解して「〇〇さんがこう言っていた」という大義名分を振りかざします。これも上司に情報が上がらない、上司に求心力が無いために成立してしまいます。こうなると組織はめちゃくちゃになります。
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空気感
2つ目の理由は空気感です。
上司が間違っていることを言っていても、周囲がその方向を向いている場合は指摘しにくいものです。空気的判断と論理的判断であれば、圧倒的に前者の方が勝ってしまいます。
よくあるのは、「早くこの会議終わらないかな」という空気感が蔓延している場合です。多くの参加者の関心事が「何が正しいか」ではなく、「いつ会議が終わるか」という状況の中で一石を投じるのは、勇気がいりますよね。
▼私の実体験
実際私の経験ではこのようなことがありました。
社長から「会議は極力減らして短時間にしろ」「書類を減らせ」ちいう号令がかかりました。その結果、日頃の非公式なコミュニケーションを活用して準備し、数少ない会議で最終調整するという流れが出来上がりました。
非公式なコミュニケーションですから、社長や管理職に途中経過の情報が届かないうちに成果物が出来上がる状態です。
現場というのはすごいもので、非公式なコミュニケーションでも上手く回ります。むしろ変に上役が介入して仕組みを作らない方が、独自の絶妙な仕組みを作ることがあります。
そんな中、たまたま問題が起きたタイミングで社長の耳に入ったことがありました。問題といっても日頃発生するやり取りの一貫みたいなものですが、社長の目にはプロセス不全による正体不明の大問題として映ったのです。
現場からすると大騒ぎすることでもないにも関わらず、それでも問題が起きたのは事実のため「ちゃんとやってます」とは説明しにくい状況でした。
その結果、新しい的外れな仕組みが出来上がってしまいました。
この仕組みは結局社長に進捗を報告するためだけの枠組みとなり、最終的には社長からの「報告のためだけに書類を作るな!」という叱責で元の状態に戻ったのです。
普段は裸の王様ではない社長であっても、単発単発ではこのように裸になることがあります。数年前、私はこれを社長と現場の間から客観的に見ていて背筋が凍る想いでした。
確かにいくら非公式なコミュニケーションで上手くまわっていたとしても途中経過を報告する必要はあったと思います。ただ現場としても、「会議と書類を減らせ」と指示を出されたらこういう動きになっても仕方ないと感じます。
上司は、自分の発言によって起きる組織全体の動きを想像しなければならないと強く感じた出来事でした。
▼裸の王様にならないために
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スパイ(腹心)を育てる
各現場に、自分の腹心を育てておきましょう。気軽に自分と雑談できる腹心を置いておくことで、現場の細かい状況を報告してもらえるようにするのです。
お勧めは自分で採用し、接してきた新卒社員です。現場の空気感に持っていかれますので、かなり信頼関係が結べている人を腹心に起きましょう。
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報連相の場を創る
何かあった時に報連相するのは、最初は難しい場合があります。そのため、報連相のための時間を意図的に作りましょう。毎週でも毎月でも良いので、膝をつき合わせて話を聞くのです。
報連相を受ける側は、極力話をしてはいけません。黙って聞きに徹しましょう。沈黙が続けば部下も耐えられず色々と話をしてくれますから。
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報告義務違反を咎める
報告された内容に怒る上司がいますが、これはNGです。これをやると悪い情報は隠され、バレなければよいという雰囲気が蔓延します。
内容ではなく報告しなかったことを怒りましょう。逆に報告された時は報告してくれたことにお礼を言いましょう。もちろん良い報告であれば、内容も一緒に喜んであげて下さい。
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悪い報告ほど笑顔で聞く
悪い報告をされた時はできるだけ笑顔で聞いてあげてください。どれだけ内心怒りや不安を感じても、表面上は平静を装うのです。
どんどん悪い報告を受けていけば、次第にちょっとした問題でも報告してもらえるようになるので、結果としては大きな問題が起きにくくなっていきます。
ハインリッヒの法則というものがありますが、これは1件の渋滞事故の背後には、軽微な29件の事故が隠れ、さらにその背後には300件の「ヒヤッ」とした出来事が隠れているという法則です。
上司は、この300件の段階で報告をしてもらえる存在になることを目指しましょう。
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ポジティブな言動をする
ポジティブな言動を心掛けてください。
「この人に頼れば何とかしてくれる。」と部下に感じてもらえると、一気に信頼関係が増します。どんな報連相をしても、冷静に的確な指示を出してもらえる上司の存在は、現場にとって大きな安心感になります。
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役職者を変える
部長や課長を変えることも時には必要となります。現場直属の上司が既に求心力を失っている場合は、そもそもその上司に情報が集まりません。そこより上にも情報が入らないことになります。
代わりの人としては、現場で既に頼られている人、もしくは社長や会社に対して忠誠心が高い人を選定することをお勧めします。
▼さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は裸の王様にならないための方法を解説しました。見ていただくと分かる通り、とにかく報連相をしやすい環境と空気感を整えることが重要です。
是非今、自分が裸だと思われる方は今回ご紹介した解決策を試してみてはいかがでしょうか。