【選択と集中】限られた経営資源で差別化を実現する「ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」
こんにちは。”小心者のぼく”です。
経営者や商品開発に携わっている人であればマーケティングミックスを意識してプロダクト開発をしているのではないでしょうか。このマーケティングミックスで最も有名なフレームワークは4Pでしょう。
とはいうものの、コモディティ化されたプロダクトを開発する際にこの4Pが非常に使いづらい経験をしました。4Pのほとんどは検討する余地すらなく自動的に決まり、プロモーションに関しては細分化・多様化されすぎた現代において定義が広すぎ、機能していませんでした。
気付くと商品開発のプロセスは形骸化し、「作ったものをいかに売るか」の方に議論は集中。結果として戦略的なアプローチが希薄となりミクロな話ばかりが経営陣と現場でなされるようになりました。
- ”選択と集中”というが、そもそもどんな選択肢があるか分からない。
- 開発が形骸化している。
- 戦略的な視点が欠如している。
このような課題感を持っている時に出会ったのが今回ご紹介する書籍です。
【書籍名】
競争優位を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略
【著者】
フレッド・クロフォード
ライアン・マシューズ
▼この本の問い
「競争優位を構築するために何をすれば良いか」
▼この本の主張
結論から述べると、「顧客との取引を構成する5つの要素のうち、どれか2つを優先しそれが以外は平均点を狙う」ということです。
マーケティングを取り巻く環境が大きく変化する中で、4Pはもう古くて使い物になりません。その中でファイブ・ウェイ・ポジショニングが注目すべき理論の一つです。限られた資源の中”選択と集中”をしながらコモディティ化を防ぎ、差別化を図っていくアプローチです。
≪5つの要素≫
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価格:安さではなく、“適正で公正な値段”
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サービス:特別なおまけではなく、“カスタマイズ性”
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アクセス:立地だけでなく、“心理的負荷の低さ”
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経験価値:エンターテイメントではなく、“親身さ”
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商品:最高ではなく、“いつもよい、そこそこよい”
この5つの要素をレベル1、2、3と3段階に分け、それぞれのレベルにあった打ち手を売っていくことで、限られた経営資源を有効に活用して競争優位を構築できると述べています。
≪3つのレベル≫
- レベル1:受け入れる(業界平均)
- レベル2:好む(差別化)
- レベル3:選び出す(市場支配)
このうち一つをレベル3、もう一つをレベル2とし、残りはすべてレベル1にすることで、いわゆる”選択と集中”を実現します。もし競争のポジションを変えたい場合はレベル3ではなくレベル2の要素を変更することで、大きなリスクを負わなくても済みます。
仮にレベル1に到達していない項目がある場合は、早急に業界の平均的な品質に引き上げて下さい。レベル1未満ということは、顧客が利用すればするほど不満の基となるという意味です。逆に色んな要素をレベル2や3に引き上げようとするのは”過剰品質”となり無駄につながります。
▼ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略の実施
活用方法は業界や状況に応じて変化するが、作業プロセスは下記のステップを経ます。
- 自社の5要素に関して関係者にどう定義されているか評価する
- 実際に顧客層が競合と自社をどのように捉えているか調査する
- 顧客層以外の層に範囲を広げて調査する
これらを通じ自社と市場の見解のズレを見つけ、対処していくことがスタートです。この戦略の本質は、「5つの要素の中で何に注力しますか?」ということです。既存顧客からの期待、競合との関係、潜在顧客からの期待から”選択と集中”を行っていきましょう。
▼感想
私がこの本をお勧めする理由は、ひとえに「ファイブ・ウェイ・ポジショニング」と言うフレームワークが自分の課題感とマッチしていたからです。
4Pでは捉えきれなかった戦略的な視点をマーケティングの中に落とし込める考え方として有効だと思います。またメッセージがシンプルなので、現場への浸透も非常にスムーズです。非常に実務的な理論だと感じています。
▼さいごに
いかがでしたでしょうか。
- ”選択と集中”というが、そもそもどんな選択肢があるか分からない。
- 開発が形骸化している。
- 戦略的な視点が欠如している。
という課題感を持たれている方には是非読んでいただきたい書籍の一つです。