(こんな人が向いている)ローカルビジネスとしてコワーキングスペースを開業した事例
こんにちは。“小心者のぼく”です
今回は、これから地方でコワーキングスペースを開業したいと考えている事業者、個人、行政の方に向けたブログとなります。実際に私自身が身銭を切って開業し、収益化させるまでに至った経験を踏まえ、「どのような条件が必要か」「どういう会社・人が向いているか」等を解説していきます。
▼結論
・まずはコアバリュー
・固定費は怖い
・自分も利用者であれ
▼コワーキングスペースの数字・実績
私の運営するコワーキングスペースは、開業して2年たちました。開業後半年で黒字化し、緊急事態宣言などで赤字になる月もありましたがほとんど黒字収支となっています。
初期投資 は300万円(備品購入・内装費・敷金礼金・システム購入費)、月の平均的な収支は下記図をご参照ください。
相場の半額以下程度の価格設定で運用していたので、客数のわりに収益は低かったように感じます。その代わり、コワーキングスペースという場所の特性を生かした別収入で利益を出しています。
▼私がコワーキングスペースを開業した地方の特徴
人口規模は10~30万人、新幹線や飛行場からは1時間弱かかります。商店街はシャッターが閉まり、高齢化率の急激な上昇が課題となっている地域です。
最近では行政の起業家誘致の施策が功を奏し、若い方の出店や開業が相次いでいます。とはいえまだ激動期で、現地住民と起業家たちとの間には地元をどうにかしたいという熱量に若干の気持ち悪いギャップがあります。
あまり表面上は分かりませんが、経済圏ごとに取り仕切っている人がいます。事業者・役所・権力者・政治家の縄張り意識があり、最初に手を差し伸べてくれた人のコミュニティに属する傾向が強いと感じています。地方都市はどこも似たような感じかと思います。
▼開業したスペースの特徴
その中で私が開業したスペースの特徴は下記の通りです。
・基本的に無人で運営
・利用料金は超低価格
・駅から徒歩圏内
・経営者、起業家がターゲット
開業しようとした地域にコワーキングスペースが無かったため、「テスト」的な意味合いが主でした。そのため固定費(家賃と人件費)を極限まで下げることを徹底。また同時に、「まず試す」という行動変容を潜在顧客に促す必要があったため、とにかく低価格の設計にしました。
地元の産業的にコワーキングスペースでゴリゴリ仕事するような職種が少なかったため、ターゲットは経営者か起業準備をしている人とし、彼らの為のイベントやコンサル事業を収益の柱としました。
▼私が感じた地方におけるコワーキングスペース成功の条件
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極力持ち家・持ち物件でやる
今回仮店舗で展開しましたが、家賃が値付けの段階で一番しんどい思いをしました。
人が作業するスペースは約1坪必要と言われています。そのため、坪単価によって利用料金がある程度決まってしまいます。仮にとんでもない田舎で、坪単価が1000円とかであれば良いかもしれませんが、地方で中途半端に商店街があったりすると坪単価が1万円とか超えてくるのではないでしょうか。
地方でただでさえコワーキングスペースが浸透していない、顧客不在の可能性がある中で、強気の価格設計はリスクが高いかなと思います。
また、家賃が一番どうしようもない固定費ですので、どれだけ体調不良でしんどくても、どれだけ緊急事態宣言が出ても家賃分は稼がないとどうしようもなくなります。そのうち、家賃のために働いているような錯覚に陥ります。
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内装にお金をかけない
頑張って最初から内装をおしゃれにするためにお金をかける人がいますが、これもコワーキングスペースではお勧めしません。壁とか床の色を変えるのは後回し。
コワーキングスペースが普及していない地域というのは、まずはWiFi、電源、プリンタ、空調の需要が強いはずです。おしゃれであろうとなかろうと、高速でインターネットが使えて、夏は涼しく冬は暖かく、長時間いても気まずくないことがコアバリューです。そしてたまに印刷したいときに印刷できればそれでオッケー。競合がいないんですから、おしゃれさで顧客は選ぶことができません。
折角の手元資金、細かい利用者の声を反映させるために使った方が良いですよ。(例えばブランケットが欲しいとか、ロッカーが欲しいとか、そういう直接的なニーズをかなえてあげましょう)
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駐車場を設ける
やはり車社会、駐車場があることで圧倒的に集客力が違います。もし敷地が開いていなければ、最寄りのコインパーキングと提携するか、一部キャッシュバックでも良いと思います。
私の運営するコワーキングスペースでは駐車場を設けていないので、雨の日や、極端に暑い(寒い)日は利用者数が減ります。またお子さん連れの方向けのイベントも開催できなくなりますので、イベントレンタルの幅が狭くなります。
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専用スタッフの雇用はしない
家賃よりいかつい固定費、それが人件費です。人一人を固定で雇ったら20万以上は軽く飛んでいきます。コワーキングスペースで20万円売上を上乗せしようと思ったら、スペースを広くして価格も高くしなければ実現できないでしょう。
固定的なスタッフを置かないことは必須の条件になると思います。例えば事業者さんであれば事務員さんを受け付けや清掃の兼務にする、とか個人であれば私のように別コミュニティの人材に都度手伝ってもらい時間当たりの報酬制にする、みたいなやり方がお勧めです。
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行政か地元の有名人に取り入る
最初の頃は集客がしんどいので、仕事を紹介してくれる人と仲良くしましょう。
行政と仲良くすればイベント開催の場所にしてくれますし、また仕事も斡旋してくれたりします。地元の顔が広い人と仲良くしていれば、友達を連れて遊びにきてくれますしFacebookで地元コミュニティに紹介してくれたりします。
コワーキングスペースだけでなく、色んなローカルビジネスの集客で使える手法かと思いますし、現にこうやって収益を安定させることができている方も多いと思います。
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ブログでSEO対策
最後にブログでSEO対策です。
「コワーキングスペース」という単語を聞いたことが無い人が多数の地方において、「何ができる場所なのか」「どの困りごとを解決できるのか」を知らせることが最も重要な広報のコンセプトです。
例えば、「勉強 カフェ 〇〇市」「仕事 wifi 〇〇駅」「自習 図書館 開館時間」みたいな感じで検索する人の検索結果にヒットさせましょう。実際私もこのあたりの特定地域を指定した場合の検索ワードでTOP10に入るようなブログを書いていました。
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イベントをやりまくる
色々頑張っても人はなかなか来ません。
そういう時はイベントをやりましょう。参加費無料でも良いので、まずは場所を見に来てもらい、そしてどんなことができそうかを体感してもらいましょう。
イベントを繰り返していると、レンタル需要も出てきますし会員になってくれる方も増えていきます。また顧客情報をリスト化できるのでイベント集客がどんどん楽になります。
▼こんな会社・人が向いている
以上を踏まえ、どんな会社、人が地方でコワーキングスペースをするのに向いているのか。3つの特徴をまとめます。
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土地・建物持ち
まずは土地や建物を自社・自分で持っている人です。その空きスペースを活用できる人は大きなアドバンテージを持っています。家賃もかかりませんし、内装を改修して失敗しても、最悪自分が快適に使えます。
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人と関わるのが苦じゃない、割り切れる
ローカルビジネス、コワーキングスペース、いずれも泥臭く人間関係を作っていく必要があります。人と人のハブになったり、イベントで声掛けをしたり、困りごとを聞いたり、色んなセミナーに参加しなければならないシーンがあります。
場所だけ貸してあとは利用料金払ってくれればいいから、みたいなスタンスだとうまく行きません。
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自分自身が仕事・勉強が好き
コワーキングスペースは、主に仕事や勉強で使う方が多いです。どんな備品が良いか、料金が良いか、設備が良いか、システムが良いか等、自分も利用者の立場で考えられると無駄な経費を掛けなくて済みます。
それに、管理者・運用者として席に座っているだけよりも、自分も利用者として使う側である方が長続きします。
▼さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回はローカルビジネスとしてコワーキングスペースを開業した事例と、その経験から学んだことをご説明しました。
どんなビジネスにも言えますが、「固定費はめちゃくちゃ怖い」ということをしっかりと念頭に置き、事業を構想してみてください。
子供が会社を継がない2つのパターン
こんにちは。“小心者のぼく”です。
このブログを読まれているのは、きっと今後継者がいない社長さんでと思います。継いで欲しいけど無理強いはしたくない、こんな会社を継がせて苦労を掛けたくない。
そんな葛藤に悩まされていませんか?
この記事では、本当は会社を継いでくれると嬉しいと考えている社長さんに向けて、「子供が会社を継がない2つのパターン」をご紹介します。いやいや、継ぐパターンを教えてくれよ、っと思われる方は下記の別記事もご参照ください。
また後半は、実際にどうすれば良いのかも少し解説します。
- ▼結論
- ▼社長の勘違い
- ▼解説
- リスク許容度不足
- 対話不足
- ▼どうしたら良いのか
- ▼さいごに
親の会社を継ぐか悩んだ時に考える5つのこと
- ▼結論
- ▼解説
- 後継ぎはすでに決まっていそうか?
- 経営の経験は代替可能か?
- 親孝行に満足できているか?
- 今現在貯金はあるか?
- (結婚している場合)パートナーを説得できそうか?
- ▼さいごに
こんにちは。“小心者のぼく”です。
親が経営している会社を継ぐかどうか、子供にとっても親にとっても非常に大きな決断です。その中でも子供側はこんなことがあるのではないでしょうか。
- 将来性がなさそう
- 経営なんて分からない
- 妻に反対されている
私自身も事業承継者として親の会社に入社し、紆余曲折、波乱万丈、死屍累々、合縁奇縁あって今こうして会社を経営しています。また色んな事業承継者とも関わり合いを持ちました。
この記事はそんな継ごうか悩んでいる方、継がない方に気持ちが揺れているけどモヤモヤしている方の手助けになると幸いです。これまでの経験、知見を基に、承継者が継ぐために入社する前に考えるべきことを5つご紹介します。
ちなみに後継者がおらず悩んでいる社長さん向けの記事もありますので、そちらも是非ご参照ください。
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親の会社を辞める前に考えるべき3つのこと
- ▼結論
- ▼解説
- 家業における自分の役割を理解しているか
- 会社が何故続いてきたのかを考えたことはあるか
- あなたは社長の何を知っているのか
- ▼さいごに
こんにちは。”小心者のぼく”です。
この記事を読まれている方は、親の会社で跡継ぎとして働いているものの「辞めたい」と悩んでいるんですよね。理由としてはこんな感じでしょうか?
- 親の会社がブラック過ぎる
- 会社に将来性がない
- 親と馬が合わない
- 仕事、業界が面白くない
もちろん私の周りでも思っている方はいますし、実際にやめられた方もいます。「辞めたい」と思うことは珍しいことではありませんが、やはり実際に「辞める」というのは相当の決断です。辞めた後に後悔しないよう、辞める前に考えるべき3つのことを今回は解説していきます。
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【選択と集中】限られた経営資源で差別化を実現する「ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」
こんにちは。”小心者のぼく”です。
経営者や商品開発に携わっている人であればマーケティングミックスを意識してプロダクト開発をしているのではないでしょうか。このマーケティングミックスで最も有名なフレームワークは4Pでしょう。
とはいうものの、コモディティ化されたプロダクトを開発する際にこの4Pが非常に使いづらい経験をしました。4Pのほとんどは検討する余地すらなく自動的に決まり、プロモーションに関しては細分化・多様化されすぎた現代において定義が広すぎ、機能していませんでした。
気付くと商品開発のプロセスは形骸化し、「作ったものをいかに売るか」の方に議論は集中。結果として戦略的なアプローチが希薄となりミクロな話ばかりが経営陣と現場でなされるようになりました。
- ”選択と集中”というが、そもそもどんな選択肢があるか分からない。
- 開発が形骸化している。
- 戦略的な視点が欠如している。
このような課題感を持っている時に出会ったのが今回ご紹介する書籍です。
【書籍名】
競争優位を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略
【著者】
フレッド・クロフォード
ライアン・マシューズ
- ▼この本の問い
- ▼この本の主張
- 価格:安さではなく、“適正で公正な値段”
- サービス:特別なおまけではなく、“カスタマイズ性”
- アクセス:立地だけでなく、“心理的負荷の低さ”
- 経験価値:エンターテイメントではなく、“親身さ”
- 商品:最高ではなく、“いつもよい、そこそこよい”
- ▼ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略の実施
- ▼感想
- ▼さいごに
社長の役割、仕事とは【まとめてみた】
こんにちは。“小心者のぼく”です。
全国的に見ると承継者不足で廃業の危機に瀕している高齢経営者の中小・零細企業は65%にも上ると言われています。
高齢経営者のリスクは死です。突然亡くなり、他社で働いていた息子・娘にいきなり白羽の矢が立ったり、社内の部長や副社長に承継してもらうケースも多いです。最近では学生や若者と承継者に困っている高齢経営者をマッチングするようなサービスも出てきているようです。
これらの承継に共通するのは、経営を勉強するための「社長との伴走期間が無い」ということです。いきなり社長として会社を経営しろと言われるのですから大変ですよね。
そこで今回の記事では、
・普段どんな仕事をしているのか
をお伝えしようと思います。
正直社長の仕事に正解はありません。私自身の経験、私の周りの経営やの話などをまとめてみました。正解があるとすれば、会社が存続するために行うための事が全部社長の仕事です。
この記事を通じて、社長として何を考え、どんなことをしなければならないのかがわかると思います。自信をもって社長業に専念していただけますと幸いです。
- ▼結論
- ▼社長業の前提
- ▼働く人の環境を整えるために必要な最低限の状況
- 利益の出るビジネスモデルの構築
- 報連相/指揮命令の経路設計
- 社長とマネージャー層間の合意形成
- ▼解説
- 仕事を取ってくる
- 業務を作る
- 資金を調達する
- KPIを管理する
- 人を採用、配置する
- 人を育てる
- 報連相を受ける
- 指揮命令系統を作る
- 現場を見る
- 現場業務を理解する
- ▼さいごに